和の会−和田内科医院/京都市東山区の病院−内科・糖尿病・生活習慣病

和田内科医院
和の会 Nagomi no kai
2012年10月16日
最近の食事に関する話題、糖質制限食の功罪
最近の食事に関する話題、糖質制限食の功罪

 糖尿病治療のダイエット法として「糖質制限食(炭水化物制限食)」というものがあります。「肉・魚OKの糖尿病の食事療法」として、マスコミに取り上げられ、それに関する著書も多数出版されています。海外からの研究報告で「血糖値安定に効果がある」という報告もあり、アメリカ糖尿病学会でも食事療法の一つとして承認されていることも確かにその通りです。しかし日本糖尿病学会が提唱している食事療法とは基本的に異なるものであり、特殊な場合を除いて決して勧められる方法とは考えておりません。
日本では、糖尿病の食事療法は2000年代に入って日本人の糖尿病の疾患特性を考慮し、つまりは、糖尿病性腎症の悪化を遅らせるためにも、どちらかというと糖質を少し多く、タンパク質を控えるという食事療法に切り替わりました。しかし、現代の日本人的な食事内容、要するに主食が少なく、肉・魚などのおかず中心が主流の食事から考えると、従来のカロリー制限一辺倒の食事療法では満足できなかったり、守れなかった患者さんに、この糖質制限食(肉・魚OKの食事療法)が受け入れられ、一部で急速に広まっていったようです。

 私は永らく栄養士として患者さんの栄養指導をし、食事療法を守ることの大変さや、食べ物を制限されることへのストレスなど、患者さんの色々な状況を目のあたりで見て、実感する中で、患者さん一人ひとりの状況や状態が違うことから、糖尿病の食事療法の基本的な考え方を、まず実践してもらって、あとは、患者さんの生活の質を大切にして、食事・運動・薬の糖尿病の治療を実践してもらえるような、生活改善が必要だと考えています。つまりは、患者さん一人ひとりに合った、オーダーメードの療法が必要ということです。そのため、栄養指導する時は、患者さんの今の糖尿病の状態や、生活の状況や家族関係を聞きながらお話しをしています。
 しかし、残念なことに、せっかく食事療法を実践されている患者さんも、マスコミで「○○が体にいい」という言葉で、そこの部分だけを取り入れられて、うまく行っていた食事療法がぐちゃぐちゃになってしまう、といった経験が多々、今までに見受けられました。人間は確かに誘惑や、なるべくしんどくない方法や、「これだけ食べたらよくなる」という安易な言葉に魅力を感じることは、仕方ないことだと思います。しかし、この糖質制限食についてもやはり、マスコミが取り上げているような、ある程度の効果もありますが、リスクもあるということです。
問題点として
・長期的な低糖質・高たんぱく質食で、脳卒中や心筋梗塞などの危険性・死亡率が上昇
・極端な糖質制限食で、意識不明などに陥るケトン血症を発症
・極端な糖質制限食で、ストレスホルモンが制限前よりも上昇
などが挙げられており、とくに以下の人は厳禁とします。

腎臓の働きが低下している人、血糖値を下げる薬を服用している人。また、妊婦やインスリンが分泌されない1型糖尿病患者さんについての実施は意見が分かれるところです。また、肉や魚を無制限に食べてもよい、自己判断で薬やインスリンを中止するような危険な方法はいけないことは周知されています。
 この糖質制限食については、日本人を対象としての研究はほとんどなく、一時的な効果があったとしても、糖尿病の合併症への影響や安全性や効果については、まだまだ確認されていません。もし、今までの食事療法でストレスを感じている方や、自己流でされている方、血糖のコントロールが不良の方などで、食事について聞きたいと思われる方は、この機会に是非、栄養相談を気楽に受けてみてください。毎月、第二・四金曜日の午前中が相談日です。
                           管理栄養士  林 京子
診療情報 Medical Information
内科・糖尿病・生活習慣病
午前8時30分〜正午
午後5時00分〜午後7時30分
休診日 : 日曜・祭日
アクセス Access
市バス「今熊野」下車 徒歩1分
京阪本線「東福寺」下車 徒歩8分
JR奈良線「東福寺」下車 徒歩8分
京阪本線「七条」下車 徒歩10分
和田内科医院
京都市東山区今熊野池田町4−15 / TEL 075-532-3646
Copyright © 2010 Wada Clinic of Internal Medicine All rights reserved