
トリアージ

2010年09月26日 16時05分 /

和田成雄
「トリアージ」とい言葉をご存知でしょうか?大惨事が起こったときには、重症度が様々な負傷者がでます。救助の手には限りがありますからいかに効率よく救出するかが問題です。手当たり次第に手当てをしていったのでは何とも手の施し用のない人に時間をかけていたために、少し早く手当てをすれば助かったかもしれない人が他に手を取られていたために助けられない、ということが起こり得ます。
ナポレオンは戦争で傷ついた兵士を救助するのに順番をつけたそうです。放っておいても助かりそうな人や手の施し用のない人は後回しにして、早く手当てをすれば助かる人から順番に救助の手をさしのべたそうです。その結果非常に効率よく救命出来たとのことです。この順番をつけることを「トリアージ」といいます。
日本の医療費は33兆円余りにのぼっていますが、これをいかに効率よく使うかを考えたとき「トリアージ」の概念を少しは取り入れても良いのではないでしょうか。人の生命の重さにに順番をつけることがいかに不遜であるかは十分に理解しているつもりですが、医学的に既に回復することが不可能と判断される病態に高額の医療費が注ぎ込まれていることがあったり、殆ど臨床的効果が無いにも拘わらず患者の希望だからと漫然と毎日同じような診療を行い医療費が高額となっていることもあります。
どこで線を引くのか、どんな順番をつけるのか、私には分かりませんが、出来るだけ無駄な医療費を使わずにすむように、適切で過不足のない、安心して受けていただける診療を心がけて行きたいと思っています。